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木村元彦「誇り ― ドラガン・ストイコビッチの軌跡」

誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

行きの電車で読了。燃焼し尽くしているプレーヤーだったのだな、ストイコビッチ。木村さんの筆は熱っぽくて時にくどいが、ストイコビッチの魅力の虜になっている様だと思えば受け入れられる。それぐらいにストイコビッチの存在感は圧倒的。プレーも生き方もルックスも美しい。奇跡みたいだ。

最後に収録されているNBAプレーヤーのブラデ・ディバッツとの対談の中で、筆者からバスケットはするかと質問されたストイコビッチの答え。

本格的なトレーニングを積んだことはないけど、何しろ僕はスポーツのために生まれて来た人間だからね(笑)。 サッカー選手の中では一番うまいと思うよ(笑)。

何気ないやりとりの一部だけど、「スポーツのために生まれて来た」、この言葉が出てきたところで僕はグッと来てしまった。政治と歴史に翻弄されるストイコビッチを知った後では、使い古された感のあるこの言葉は新鮮な輝きを放っていたのだ。