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OEKの邦人作曲家録音

これを聴いた。

これには、山口恭子・一ノ瀬トニカ・猿谷紀郎の作品が収録されている。

山口恭子「だるまさんがころんだ」、コンセプトは面白い。作曲者本人のコメントによれば「遅いテンポを持つ速い曲」を書くことを試す過程から生まれてきた作品らしい。初演が行なわれる会場が残響が長いということも、この作品のバックボーンとしてあるとのこと。だけど、それにしてはこの演奏は残響の少ない録音で、作曲者の意図が生かされていないように思う。特に金管楽器の細かい発音が、混じり合うような効果を狙っていたのではないかと思うのだが、結局ガチャガチャしているだけの印象。作品の短さが救いかも。これは実演で聴いてみたい。

一ノ瀬トニカ「美しかったすべてを花びらに埋めつくして・・・」、これは音色上のアイデアが多い作品だと思った。弦楽器の色々な奏法。オーケストラ側のフルート*1が、ソロ・フルートの音形を、微妙に拍をずらしてリフレインのように奏する部分。オンド・マルトノのように滑らかなグリッサンドはヴァイオリンだろうか。打楽器の音量・音色の変化も聴きもの。そして、音楽が分かりやすいのもいい。ちょっとムーディな感じがしないでもないが、ムーディでない部分との対比を感じ取ろう。力のある作曲家の、力のある作品だと思う。ライナーノートでは、ある詩を紹介しているが、そんなものは要らないのではないか。この長いタイトルも。

猿谷紀郎「碧い知嗾」、これは音色がとても綺麗なのだけど、それ以上の感動を連れてきてくれない印象。老成してしまってはいないか。色々な音の変化を狙っているし、時折主張するティンパニとか楽しいし、長時間聴き続けられる微妙な変化も丁寧につけられている。だけど、こういう音楽を聴いても、今の僕には何も残らなかった。

どの曲もスコアを見てみたい! 作曲家本人に連絡を取る方法は無いものだろうか?

指揮者の岩城宏之の作品への感想はどんなだろう。演奏者としてどう考えたのか。多くの作品を演奏してきた氏から見て、これらの作品の歴史的意義や、岩城さんに与えたインパクトの多寡も。けど岩城さんは、「指揮者は演奏するのが仕事で、音楽が残るかどうかは聴衆が決める」みたいなことをどこかで話していたような気がしているので、作品への評は指揮活動を終えるまでは出してくれそうにもないが。

*1:スコアを見てないから想像だが