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大阪センチュリー交響楽団の危機

大阪センチュリー交響楽団が重大な転機を迎えている。

在阪楽団への運営補助金を大幅削減 橋下行革 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

幾つかのニュース記事を組み合わせて読んでみると、大阪センチュリー交響楽団の経営資金になっているのは設立当初100億円あった文化振興基金とのこと。Wikipediaにも「財団の基金が10年度末には底をつく予定」とあり、この運営脆弱性は周知の事実らしい。

そして財団の基金が底をつく前に動いたのは橋下知事大阪府の側だった。結局、大阪センチュリー交響楽団は来るべき危機的状況に向けての絵を描けないまま、相手に先に動かれてしまったということか。そう言えば、小泉和裕音楽監督に就任し沼尻竜典が指揮者陣に加わった際に「3管編成計画」を発表していなかっただろうか。今回のニュースが出た後では、あの発表も周囲の空気を読み切れていないだけの戯言だったということになる。大阪府民が選んだ知事であり、大阪府のオーケストラである大阪センチュリー交響楽団なのだから、そこは府民の考えに導かれた運命ということになるのだろう。この演奏会で新鮮な感動を得た聴き手としては、オーケストラを聴く選択肢が減るかも知れないのは残念なのだけど。

そもそも、なぜ大阪センチュリー交響楽団が出来たのだろう? 大阪センチュリー交響楽団の前身は大阪府音楽団という吹奏楽団で、僕の手元にも兼田敏を演奏した録音がある。団体の名称からし大阪市音楽団との競合があったのではないかと思うが、それが何故か解散することになり、それを発展的にオーケストラに再編成したのだという*1。ではもっと遡って、なぜ大阪府音楽団が出来たのだろう? 大阪市音楽団があるのに・・・。とは言っても、大阪府に属する市町村にしてみたら、府民税を払っているのだし何らかの文化的恩恵に浴したいと思うだろうから、その思いが伝わって発足したのだろうか? ではなぜ解散してしまったのか。そしてなぜわざわざ大阪センチュリー交響楽団というオーケストラに編成されたのか。そしてまた運営が立ち行かなくなる状況を迎えている現在。こういう繰り返し・・・、官僚的な匂いがする。公益法人とか、そういう組織の彷徨い方にどこか似ていると思う。

だからどうだと聞かれれば、明確な意見は持ち合わせてはいない。大阪府音楽団の結成と解散・大阪センチュリー交響楽団の発足という、お金のある時代の大阪府の方針転換に音楽家が翻弄されてきた歴史は妙だとは思う。ネットでは橋下知事への批判や、大阪センチュリーを救おうという意見に溢れている。署名活動も開始されたようだ。大阪府再生を目指す橋下知事を批判したところで、根本的な問題に目を向けているところにはならない。この件は、文化の問題というよりも、行政の問題なのではないか。

とりあえず、行く末を見守りたいと思う。

*1:再編成と言っても、大阪府音楽団時代の団員は3人しか大阪センチュリー交響楽団には入れなかったらしいのだが。