植田正也『電通「鬼十則」』
- 作者: 植田正也
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/09/02
- メディア: 文庫
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読み始めてみたものの、これは良くないかも知れない。この「鬼十則」については以前かどこかで目にしていて、これはと思うものについては手帳に書き留めたりしていたので、どんな経緯で書かれてどんな結果に繋がったのかを知りたいと思って購入したのだが、そんな僕の思いを汲んでくれるような内容ではなかった。この本を書かれている植田正也さんという人がどういう人なのかは全く知らないのだが、十則それぞれについてコメントをするかと思えば、恣意的に、本当に恣意的に電通とは関係のない事例を挙げていくだけという内容。立ち読みでそれに気付くことが出来なかった僕が悪い。
例えば、こういうところがあったと思うと、
自己主張はするが、行動は取らない。知行合一とはほど遠い社会の空気ができている。ほんとうに、日本人は空気を作る名人である。山本七平の『「空気」の研究』(文藝春秋)によると、これは日本人に特に強いという。一度、ある空気ができてしまうと、もう、どうにも動きが取れなくなってしまう。太平洋戦争の開戦がそうだ、と山本七平は喝破している。
こういう部分が後から出てきたりする。
こんなことをして大公使が務まり、次官が務まるのか。唖然として口もきけない。このざまでは当然、大局的な判断などできる訳もない。松岡洋右を見習え。
何か妙だ。「空気」についてはとても後ろ向きな文脈で書かれていて、太平洋戦争の開戦の火蓋が「空気」に押し切られる形で切られたことを、山本七平の言を引いて戒めているのだが、その後には太平洋戦争開戦に向けての一つの重要な要素を演じた松岡洋右を唐突に持ち上げたりする。松岡洋右が大局的な判断を? 太平洋戦争開戦は「空気」に押し切られたのに? うーむ、謎だ・・・。