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恩田陸「夜のピクニック」

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

今朝の行きの電車で読了。力技ですね。これぐらいの長さの本だとプロットだけで押しきれないし、登場人物の人間味や抱える背景が大切だな、と。読んでいてかなり感情移入してしまった。一緒に歩いた気分。決して説明臭くなく、知らないうちに色々小さなパンチを受けている感じ。小さな逸話の描き方が素敵なのだな。何気ないようでいてキラキラ輝く逸話の集まりが、まとまって迫ってくる。池上冬樹さんが解説の中で「いつまでも読み続けていたい小説」と表現していた。同じ気持ちで読んでいたので、池上さんの文章に心の深いところを撫でられたような感触が。恥ずかしい。最後のとこが自然な技術で美しい。芥川の「六の宮の姫君」を彷彿させる。