鈴木敏夫「仕事道楽」
仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143)posted with amazlet at 08.07.29
土曜日くらいに読了していた。鈴木敏夫さんが「アニメージュ」に関わっていく段が一番の山場だった気が。
色々印象に残った箇所はあったけど、特にここ。
映画づくりで才能は必要ですが、誠実さも同時に必要です。実際、才能のある人ばかりで一本の映画を作るというのは不可能です。一人の人間の考えたものをみんなで寄ってたかって作るわけですから、数人の才能ある人と、誠実にこなしてくれる人の両方が必要なんです。
つまり、才能のある人には誠実さがないってことかな? それはそうと今の僕に才能はなさそうなので、誠実にこなす側に意図的にシフトするしかあるまい。才能もなく誠実もなければ、去るしかないのだ。
朝比奈隆/NHK交響楽団の2つのブルックナー
日曜日の深夜に放送していた朝比奈隆とNHK交響楽団のブルックナーを録画しておいて、今日になってやっと見ている。
交響曲第9番は正直に言って、ボロボロな演奏でどうしようかと思った。冒頭の深い呼吸感に期待を抱かされた分、落胆も大きかった。休止の後の入りが不安定極まりないし、事故も少なくない。この遅いテンポ、朝比奈隆の指揮にそのままリーダーシップを任せてしまっているところに原因があるような気がする。朝比奈はアインザッツではなく音楽を指揮しているはずなのに、その音楽を受け取ろうとせず、どんどん後ろへ後ろへ音楽が置いていかれる。巨大な演奏をやっている雰囲気はあるので、それには酔わせられるが、そこまで。責任を朝比奈だけに取らせてしまうつもりなのか。
交響曲第4番では、第9番のズルズル感はなく、随分サクサクと音楽が進む。筋肉質で明確で。本当に第9番の演奏とは対照的だ。冒頭のホルンが惜しいが、セクションごとのまとまりが素敵で楽しめた。第9番よりも音楽自体に起伏があるからかな、安心して聴いていられる。テンポ変化もオーケストラ全体で自然に推移させている。オーソドックスで所謂ブルックナー的な演奏として完成度が高いと思えた。これを生で聴けた人はハッピーだったろうな。と思っていたら、ここでも配慮のないブラボーが出た。やめて欲しい。
と、何が違うって、コンサートマスターが違うのか。第9番は堀正文さんで、第4番では山口裕之さんだった。納得。
売ってるらしい。
NHKクラシカル 朝比奈隆 NHK交響楽団 ブルックナー 交響曲第9番posted with amazlet at 08.07.29
NHKクラシカル 朝比奈隆 NHK交響楽団 ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」posted with amazlet at 08.07.29
芸術の売り方
やっと買う勇気が出た。