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金聖響/シエナのリード作品集を聴いて

リード!リード!!リード!!!

金聖響さんとシエナ・ウインド・オーケストラのアルフレッド・リード作品集、ザッと聴きましたが爽やかですね。

アルメニアン・ダンス パートI」や「エル・カミーノ・レアル」では、テンポの揺らしが作為的でないからなのか、段々と迫ってくる感じが強く感じられて、素敵だと思った。「シンフォニック・プレリュード」も同じ。こういう切迫した音楽をシエナから聴けたのは、失礼ながら意外。木管の音色の幅は相変わらず狭い気もするけど。

個人的に思い入れもある「春の猟犬」も元気でいい。この曲では、シエナのトランペットとトロンボーンの響きの質が近いのがいい感じに聴き取れて、楽しさを増やしてくれる。オクターヴのユニゾンや、トロンボーンから始まってトランペットに引き継がれる広い音域のフレーズに、僕は耳を奪われました。それに、同じ高さの音からトランペットが上向して、トロンボーンが下降する部分も、閉じた視界がスッと開けていくようで感心。巧い。ただ、185小節目の響きが変なのは、吹き間違い? 誰かEs吹いていない? それにしては毅然とした発音なので謎だ。

「音楽祭のプレリュード」は懐かしい。最新の録音でこの作品を聴かせてくれたことに感謝したい。ちょっとウルッと。演奏したことはないけど。

「オセロ」は、金さんが思い入れを持たれている雰囲気(http://seikyo.eplus2.jp/article/41931957.html)だったので期待していたのですが、シエナの状態や作品への切り込み方も今ひとつ。静かな楽章や、落ち着いた部分での緊張感が欲しくなる。冒頭も声を荒げるような歌い方で、悲劇が大きなものに感じられないのだよね。打楽器も能天気に感じられてしまう瞬間も。うーん、普通に演奏してもそれなりの感慨を残せる作品だと思っていたけど、今まで聴いてきた録音の演奏の力が大きかったのかも知れない。今度もう一度聴こう。

アレルヤ!ラウダムス・テ」では、さすがに最後のほうでは疲れがあるような気がw 当日のライヴはどういう順番で演奏したのだろう? それにしても、これいい曲だ。聴くより演奏するほうが、感動できるヨ。

全体を通しては、シエナはギリギリ感が満載な演奏しますね。でもこのギリギリ感がシエナの個性でもあるわけで、今更この路線を変えるわけにはいかないだろうな。部分的に荒過ぎると思うところはあるけども、頑張ってるもんなあ。一つの演奏会でこれだけの曲群を並べて、さ。

けど音色面ではまだ色々研究できそうです。特に、トランペット。あと一つくらい抽斗を増やしたほうが、絶対いい。下を吹くパートにも歌心を注入して欲しい。それにオーボエも音を飛ばす箇所を、もっと増やしてもいいと思うんだ。それは木管で束になる箇所でのフルートも同じ。木管内でのピラミッドを志向し過ぎじゃないかな。シングルリードののっぺりとした響きが主体な時間が多くて、どうも潤いが足らない気がする。

あと、コンサートで演奏されたという「ジュビラント序曲」はどうなったんだろう?