本田由紀「教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ」
教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)posted with amazlet at 11.01.25
教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)
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先週に読了。冒頭から気負い過ぎとも思えるほどの気概に溢れ、様々なデータをビシバシと紹介し、終始熱い口調を続けていく。そんな本田氏に少し説得されてしまう。情熱の書だ。本田氏が自分自身の問題として「教育の職業的意義」に取り組んでいることが分かる。
本田氏が主張するのは、普通科過多の後期中等教育を変革するために専門高校的な性質を持つ学校を増やす、という方策。これを採るとすれば、普通科に行けなくなる層の最初の反応が気になる。あと専門高校で教鞭をとる教員の育成が必要だと思うが、読み落としているかも知れないが、その部分についての言及はない。現在の科目配分を前提とした教員構成にも手を付けざるを得なくなるから、教員の反発は容易に想像できる。いざ導入となれば、免許の読み替えや、現職教員の再研修などで乗り切っていくほかないだろう。着手するなら団塊世代が抜けていった今しかないのかも。長い目で見れば幸福な結果を導き出せそうだけど…。
学生の頃に読んでいた新書って、こういうものが多かった気がする。一読しただけでは理解できなくても、書き手の熱意や面白がりが伝わってくるものだから、その分野への関心が高まっていく。本田氏の他の著作も探してみたい。