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遠藤周作「ほんとうの私を求めて」に登場する矢代秋雄

Amazonで「矢代秋雄」を検索すると、なぜかこの本がヒットするため、以前に文庫を買った。

矢代秋雄遠藤周作は1975年の三重秋季国体を通じて繋がりがある。矢代秋雄は同大会の音楽監督を務め「式典序曲」「讃歌」「ファンファーレ」「式典終曲」の4曲を作曲しているが、このうち「讃歌」は混声合唱吹奏楽のために書かれており、その作詞を遠藤周作が担当したのだ。その時の逸話などがあれば嬉しいと思いながら読み進めていたが、矢代秋雄について言及されていたのは以下の部分だけだった。

たとえば矢代秋雄の「室内楽全作品」(カメラータ・トウキョウ)は若くして死んだ彼の素晴らしい感受性と精緻きわまる音と楽章の組みあわせに感動するから好きなのだが(むかし、彼に私はこう言ったことがあった。君の曲は素人のぼくがきいてもあまりにも美しいはめ木細工みたいだね、と。彼はその感想をとっても悦んでくれた)同時にその曲をきくと留学時代おなじ建物に共同生活をした彼の人なつこい顔を思いだすからだ。

矢代秋雄遠藤周作に共同生活をしていた経過があったとは知らなかった。それを知ることが出来ただけでも収穫だったと思う。それにしても「あまりにも美しいはめ木細工」という表現は、矢代秋雄の作品を端的に言い表していると同時に、矢代にとっては最大級の賛辞に聞こえたのではないだろうか。