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リリー・ブーランジェ「ファウストとエレーヌ」

Boulanger: Faust et Helene, etc.

Chandos (1999-08-17)
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リリー・ブーランジェは25歳で夭折したフランスの女流作曲家。姉は数々の才能を育て上げた教育者として知られる指揮者・作曲家のナディア・ブーランジェであり、ナディアが作曲の筆を絶ったのは妹リリーの才能に驚嘆したからと言われている。

ということまでは予備知識として知っていたのだが、聴くのは初めて。と思ったら、手持ちのCDを見てみたらナディアが指揮した録音「Faure: Requiem; Lili Boulanger: Pie Jesu; Psalm 24; Du fond de l'abime」があって、かけてみたら「詩篇第24番」は記憶にあった。

収録曲を見てみて特に楽しみにしていたのが、ローマ大賞(ローマ賞)を受賞した作品「ファウストとエレーヌ」。女性初の受賞だったらしい。作曲年を調べてみると、この大曲を書いたのが19歳の時らしい。この事実だけでも驚嘆ものだけど、聴いてみてその驚嘆は更に大きなものに変わった。これはもっと演奏されるべき作品と思う。第一にドラマティックだし、オーケストラの色彩も豊か。終盤でトロンボーンなどの金管楽器が咆哮をあげるところで、既に30分近く経っていることに気付き、そこまで持続する緊張感にも驚いた。締め括りの余韻も素晴らしい。編成をまた調べてみたいけど、独唱が二人だけということもあるし、取り上げやすいのではないかと思う。これは生で聴いてみたい!

ゲーテの「ファウスト」を読んだことはないが、これほどの音楽をリリーに書かせるだけの魅力がある文学作品ということは想像できる。「ファウスト」を扱ったベルリオーズ、リスト、マーラーの作品を聴いても「ファウスト」を読みたくはならなかったが、今回はリリーが扱った箇所だけでも読んでみたくなった。