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ユーフォニウム

ユーフォニウムという楽器は簡単に音が出せてしまう分、音色を研ぎ澄ましていく過程が疎かにされがちだと思う。トロンボーンの音域で機動的に動き回る楽句は必要なので、その役割を嬉々としてこなしているうちに、何かをやり遂げた気分になってしまう。速いパッセージが吹けることなんてピストンの金管楽器なら当然のことなのだから、それを超えて鍛錬に臨んでいけるための手掛かりをユーフォ吹きは欲している。極端なソロじゃない限り、指が回って音を外さなければ殆どの指揮者は何も指摘しない。ユーフォの理想の音をイメージ出来る指揮者が居るだろうか。居たとしても少ないだろう。そして課題や課題を据えるための手掛かりもないまま、時が過ぎていく。「ユーフォの裏メロいいねー」などと言われては、誇らしくなってまた駄目なゾーンに墜ちていく。

他の楽器に比べてユーフォは、理想の音を自分で形作るためのサンプルが極端に少ない。大きめのCD店で管楽器コーナーの在庫を見てみれば、フルートやトランペットの在庫とは極端な差があるし、テューバにだってさえ達していないことさえある*1。今は随分ましだとは思うが、20年前は三浦徹とスティーヴン・ミードとなんちゃら兄弟しか居なかった。そして指針とすべき音には出会えないまま・・・。

ユーフォニウムという楽器の印象を根底から引っくり返せるようなソリストや作品が出てこないものだろうか。

ところで、正式な日本語表記は「ユーフォニアム」らしい。ちょっと不敵な笑みを浮かべた感が出てて強そうだ。「アム」で噛みつくような口の動きになるからかな。僕が聞き慣れて言い慣れてる「ユーフォニウム」だと野暮ったく弱気な感じだ。「ウム」だと何かに悩んでるようだったりするし。ユーフォの鈍くて日陰者な在り方から考えると、やっぱり「ユーフォニウム」のほうが似合ってると思うな。ごめんユーフォ。

*1:テューバのためにはヴォーン・ウィリアムズが名曲を書いたからね・・・。