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サンソン・フランソワの破滅的な音楽

サンソン・フランソワが弾くショパンを聴いている。

ショパン:ピアノソナタ第2番&第3番
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン (2004-12-08)
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ショパンの「ピアノソナタ第3番」は独特の存在感を放つ作品だと思う。よく言えば構成感が感じられる作品だ。悪く言えばこねくり回して、無理してる感じを受ける時もある。僕が今まで耳にしてきたショパンピアノソナタの演奏では、「構成感」の側に寄ったものが多かったように思う。リパッティの透徹した響き、アルゲリッチの奔放さ、ヴァーシャーリの堅実さと音色の多彩さ、キーシンの一所懸命さ。それぞれは完全な個性で、狙う方向性が徹底されているために、ショパンの願ったことがきちんと「構成」されたまま出ていると感じた。

翻って、今日聴いたサンソン・フランソワソナタは、彼が46歳で亡くなったということを知っているせいかも知れないけれど、とても破滅的で唐突に聞こえてくる。思いついた順に、その場限りの思いを吐き出していくかのような独特の表情がある。そこにあった表情は、次の瞬間には居なくなり、また別の主張を始めたりする。気持ちの入る箇所と、そうでない箇所がどんどんと入れ替わっていく。こんな一筆書きのようでいて気ままな音楽、誰か真似出来るだろうか。サンソン・フランソワの独特な表現を通すと、その濃厚な霧の向こうに、ショパンの迷いや苦しみが見えるような気がする。