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関西学院大学応援団総部吹奏楽部 第46回定期演奏会

関西学院大学応援団総部吹奏楽部の定期演奏会に足を運んできた。手元にあったチラシに掲載されていた曲目に惹かれた。関学吹奏楽部の定期を聴くのは、おそらく10年ぶりになる。

関西学院大学応援団総部吹奏楽部 第46回定期演奏会
日時:2007年11月12日(月)19時開演
場所:フェスティバルホール
曲目:

さて、僕の中での関学吹奏楽部をシンプルに言えば「ヒーロー」だろうか。学生指揮者で吹奏楽コンクールを勝ち上がるその伝統に尊敬の念を持っていた。学生の部活動なら当然のことに思えるが、吹奏楽の世界ではそれは少数派だ。プロフェッショナルの指揮者が登場することもあるし、名のあるプロ楽団の奏者がタクトを持つこともある。最近では中学高校の吹奏楽部の顧問出身者が大学吹奏楽部の指揮台を賑わしていたりもする。そんな中の関学。1997年のコンクールの、ファンタジーはなくとも実直さで押す指揮と演奏を僕は忘れられないし、1996年の定期演奏会バルトーク「舞踏組曲」の堂々たる演奏も素晴らしかった。1995年の「7つのヴェールの踊り(楽劇「サロメ」より)」の禁欲的な指揮からは想像もつかない大きな音楽におののき、1994年の「三日月にかかるヤコブのはしご」の初演に心躍った。そして僕の関学の演奏初体験は1991年のハチャトゥリャンの「仮面舞踏会」の録音だ。あの土臭い作品を格調高く演奏し切ってしまうその切り口に驚いた、あの録音。僕にとって関学吹奏楽部は、格調高くて品のある「ヒーロー」だったのだ。

だが、この大きすぎる僕の中の関学像が今日砕かれてしまった・・・。1曲目の「A SONG FOR KWANSEI」頭の野放図なティンパニは昔から相変わらずで素敵だったけれども、かつてはあったその打撃をすぐまろやかに包み込む金管の響きはもう居なかった。僕の思い出が美化され過ぎているのかも知れない。僕の、美を聴き取るための抽斗の中身が変化したのかも知れない。それでもそれを越えて、新しい伝統の存在を屹立させてくれるのではと期待していたのだ。

そんな始まりで、その後は何も生まれることはなく、何も戻っては来なかった。「三日月にかかるヤコブのはしご」は同じ曲とは思えなかったし、「ヨークシャー・バラード」は冒頭から芯のない音色に僕は俯いてしまった。学生指揮の大袈裟な指揮姿から目を外して何かが変わればいいと願って。「ダフニスとクロエ」第2組曲、曲目解説には「パントマイム」のことも書いてあるのに、あっさりと割愛された。コンクール・バージョンなのだろう。他にもちょこちょこと楽譜を飛ばしていく。それにパンフレットには編曲者の記載がない。そしてそれらハンデを取り返す煌めきも豊かさも、足りていないのだ。

用事もあったので第一部で失礼することにした。第二部で登場する客演指揮の斉田好男氏が関学の眠れる何かを起こしたかも知れない。が、僕の「ヒーロー」関学に、客演指揮者は関係ない。