「ゲド戦記」読了
- 作者: アーシュラ・K.ル・グウィン,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/05/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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長かったのと、それぞれの巻の雰囲気があまりにも違うのに当惑しながらも読み終えた。僕は第4巻「帰還」が好きだ。深遠さと派手さとが同居している。二人の気持ちが交わっていく箇所の描き方が秀逸だと思う。人間の感情の内奥が生々しく描かれている。第5巻はどこか説明くさい部分が多くて謎。それでも最後の部分はとても素敵だ。
映画を見たくなってきた。
ファンタジー作品を大人になって読むことに、少し悔しさを感じていた。「指輪物語」を読み終えた時も、「ホビットの冒険」を読み終えた時も、「子供の頃に読んでいたらどんな感想を持っていたのだろう」と答えの出ない問いを僕自身に突きつけたものだけれども、「ゲド戦記」は違った。これは今の僕でしか受け取れない要素が多過ぎると思うのだ。ゲドやアレンが迷いながらも、目的を持って行動する「影との戦い」や「さいはての島へ」は手に汗握って読んだだろうけど、女性の心の揺れ動きが大部分を占める「壊れた腕輪」「帰還」などは、子供には、それも男の子には荷が重いと思う。だから、「ゲド戦記」を今読めて良かったと思う。
「指輪物語」のように、装置がカッチリと用意されているものの凄みも格別だけど、完全な幻想の中でしか描けない人間の心理を彫り上げた「ゲド戦記」も力強い。ファンタジーが僕には大切だ。