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金聖響と18世紀的演奏について

さて、金聖響の「18世紀的演奏」についての記述がHMVにあった。なるほど、CDのライナーノートだったか。

18世紀的演奏法というのは参考書等で勉強することが出来ますが、この2年程何度も読み返した本があります。アーノンクールの「古楽とは何か」「音楽は対話である」、この2冊です。他にも文献や楽譜のファクシミリ、海外の専門サイトなどなど、使える情報は読み倒しました。もちろん資料として聴いたおびただしい数の録音です。古楽アンサンブル(English Baroque Soloists,18th Century Orchestraなど)、室内オケ(European Chamber Orchestra,Deutsche KammerphilhamonieBremen他)の演奏が参考になりました。ベートーヴェンだけ集中的に聴くだけでなく、バッハ、モンテヴェルディハイドンモーツァルトシューベルトメンデルスゾーンブラームスという古典を網羅し研究しました。バロックアンサンブルや古楽器オケの演奏というのはとても刺激的で、どの演奏からもアイデアを沢山頂きましたが、色々聴いているうちにあの響きに耳が慣れてきた頃に感じた事が、音楽の有機性が強く感じられないという点でした。楽器の発展、技術の向上、音楽のスピリット、有機性という20世紀にほぼ100%確立された世界の存在が薄く感じるようになり、「こりゃなんとかせなあかん」と自分なりに思い立って研究した結果として、今回の録音で古楽器的要素との「融合」が実現出来たのではないかと思っています。

金聖響デビュー! 凄い指揮者がやってきた!|HMV&BOOKS onlineニュース

ふむ、やはり。ここでは、20世紀に確立されたものを大事にしながら、古楽器的要素を足していくというプロセス、これを推し進めようとする態度が見える。

ここまで言及していたのに、その後「戦後の演奏ってのは、あらゆる慣習を崩壊したんだなと感じる」だったり「今までの悪しき伝統のスタイルと違う、原典に戻った古典演奏をしようと格闘しています」とまで言い切る態度に変遷していった理由はどこにあるのだろうか。本当にこの人はブレていないのか?