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ロンドン・フィル最良の記録

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団というオーケストラ。クラウス・テンシュテットが首席指揮者だった時代を黄金期とされる風潮がある気がするが、本当に充実した能力と音色を持っていたのは1970年代なのではないかと思っている。ベルナルト・ハイティンクが首席指揮者の時代になるが、代表的なものとしては、ゲオルグショルティエルガーテンシュテットマーラー全集の一部、クラウディオ・アラウがインバルと組んだショパンの協奏曲、そして何よりオイゲン・ヨッフムブラームス交響曲全集だ。

Symphony 1-3/Ovt Tragic/Ovt Academi

Symphony 1-3/Ovt Tragic/Ovt Academi

Sym 4/Requiem

Sym 4/Requiem

前にも書いた(http://d.hatena.ne.jp/hrkntr/20050328/p1)のだが、ヨッフムの若々しい解釈も特別だし、練られたTuttiの音色にも特別なものを感じる。強い個性を持った響き。この録音こそ、ロンドン・フィル最良の記録なのではないかと思う。最近のロンドン・フィルから感じられるような弦楽器群の線の細さはない。高い音域でも、太く奥行きのある強靭な音。それにこの響きの醸成され具合の要因には、金管楽器の、特に活き活きとしたホルンの存在を挙げるべきだろう。とてもとても、素敵。失礼を承知で書くけど、この録音を聴いてロンドン・フィルの演奏と気付く人は居ないのではないかと思う。

それに、ブラームスがオーケストラに仕込んだ様々な工夫が、必然性と音楽的魅力を持って、何度も何度も迫ってくる。楽譜に書かれている表情記号の丁寧な再現。それがこの音楽に命を与えている。第1番第4楽章の38小節目のフルート、ここまで「passionato」にむせ返るようなヴィブラートで演奏された例を僕は知らない。飛んで、365小節目のトロンボーンの「marc.」にも明確な意志を感じる。聴き所は数知れない。