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友人Mへの私信と僕の武満徹体験

これを読んで僕の武満徹体験を振り返りながら、昔の友人を思い出していた。

芸術新潮 2006年 05月号 [雑誌]

芸術新潮 2006年 05月号 [雑誌]

僕の中学の頃の友人にMという奴がいた。Mからはクラシック音楽に関する色々なことを教わった。僕がクラシック音楽を聴くようになった理由の大半は、Mの存在だと思っている。Mは色々なCDを持っていて、それを貸してくれた。親の趣味でもあったのだろう。僕の地元では手に取れないようなCDばかりだった。輸入盤というものの存在を知ったのもMを通してだったと思う。ブルックナー交響曲第4番」や、マーラー交響曲第1番」。そんな音楽の存在もMから教えられた。Mはなぜかマーラー交響曲第3番」の児童合唱として本番に臨んだ経験があるらしく、その時のことを嬉しそうに話してくれたりした。そしてMの愛読書は小澤征爾の「ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)」だった。Mの影響で僕もその本を手にすることになった。そして、続けて「音楽 新潮文庫」に出会うことになる。この本は小澤征爾武満徹の対談で、音楽とは何かということ、曲を作るということ、指揮をするということが二人の普段着の言葉で語られている。僕と武満徹の出会いを紐解けば、この本ということになる。当時は名前の読み方すら分からなかった。その頃の僕にとっては難しい部分も多かったと思うが、二人の音楽に対する情熱は感じ取れていたと思う。本当に音楽を愛している二人。今思えば、クラシック音楽について語らうMと僕を重ねていたのかも知れない。そして武満徹がどんな音楽を書くのか、関心を持つようになっていった。

武満徹 : ノヴェンバー・ステップス」を買った。武満の代表曲とされることも多い「ノヴェンバー・ステップス」、尺八と琵琶の二重奏「エクリプス」、ヴィオラ協奏曲の形をとる「ア・ストリング・アラウンド・オータム」が収録されている。聴き出して暫くは、「ア・ストリング・アラウンド・オータム」しか受け入れられなかった。耽溺していくような響きが好きになったのだ。他の2曲の殺伐とした響きと比べると、同じ人間が作ったとは思えなかった。だけど武満徹の音楽に対する情熱を知ってしまった僕は、「ノヴェンバー・ステップス」のワケの分からなさにも耐えて何度も聴くようにした。そのうちに、「ア・ストリング・アラウンド・オータム」よりも「ノヴェンバー・ステップス」のほうに揺るぎない力を感じるようになった。意志をそのまま彫り出したような存在感に魅せられていった。後で買った「武満徹 : ノヴェンバー・ステップス」との演奏の違いを楽しめるほどに。その頃には一緒に武満を語り合えたかも知れない友人Mはもう転校してしまっていたけれど・・・。

さて、鶴田錦史さん、この方が女性であることを知らない人が多くて、驚いている。これ、トリビアなの?