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仲道郁代さんのピアノリサイタル

仲道郁代さんのCDを初めて買ったのは、もう10年以上前。買ったのは「ショパン:ピアノ協奏曲第1番」です。その頃から、実はファンです。綺麗な人ですから。そして今日、初めて生演奏に接することが出来ました。初めて声を聞きました。CDにサインもらいました。握手しました。ミーハーですとも。

ベートーヴェンは楽章によって出来ムラはありましたが、全体としては満足。第24番は通称「テレーゼ」ですね。愛らしいというよりは、無器用な感じな曲。第28番はとても特異な雰囲気。ベートーヴェンは不思議な曲を書くなあ。休憩を挟んでショパンショパンを弾く時のピアニストは、どうしてあんなに何かが憑依したようになるのだろう。そしてその人の個性がとても投影されやすい作品が多いな。聴き終わって思ったのは、ショパンの熱い表現をベートーヴェンでやるわけにはいかないのだろうか、ということ。ベートーヴェンは少し余所行きなイメージが拭い切れなくて、親近感は沸きにくかったです。

アンコールの前に、紅葉の時期の京都に来れたことを嬉しく思っているということ、皆さんの前で演奏させてもらってありがとう、とお話されて、リスト「愛の夢」を弾き始めた。こういうシンプルな曲だと、この人の弱音が素晴らしいことが良く分かる。この人もやはり特別な人なのだ。続けてシューマントロイメライ」、ここでも情熱的な弱音が聴けた。凄い。そして最後にシューマン/リスト編曲「献呈」、歌心のある演奏でした。

仲道さんは、ホモフォニック・和声的な曲よりもポリフォニック・多声的な曲のほうが向いているのではないかと思います。今日の第28番(フーガあったかな?)や、ショパンソナタの第3楽章での、音色の揺れ動きは素晴らしいと思った。アルペジオが綺麗な演奏。今後バッハなど、録音しないでしょうか。

演奏会場はあまり新しくないホールで、響きは不十分だし、椅子も誰かが動くとギーギー言うなど、劣悪な環境。あと、関係者と思われる人が、大きな寝息を立てて眠っていたのには辟易した。それに通路側の人は、足を組んで聴く人が多い。僕はそういう態度は勿体無いと思う。真剣な態度・姿勢で聴かなければ、真剣な演奏はしてもらえない。画家が真っ白なキャンバスを必要とするように、演奏者が音楽を描いていくためには、音の無いサイレンスが必要と思う。そしてそれを作るのは聴衆だ。聴衆の重要な役目なのだと思う。サイレンス、それはデシベルとかのリアルな音量だけではなく、静寂な精神のことだ。