ルチア・ポップ
クラシックを聴き出した頃、レーベルが出すプロモーション用のカタログが大好きだった。歌手・演奏家のポートレイトがふんだんに盛り込まれていて、軽めのエッセイ風な読み物があって、指揮者・ヴァイオリニストの師弟関係図などもあった。ワクワクしながら読み進めた。
写真だけ見て、断然綺麗だったのがルチア・ポップ。中央以外のピントを少し外してあり、顔を少し左に傾けたポップ。その白い可憐な笑顔に恋をしていた、と思う。その時点で、若いとは言えない年齢だったと思うが、写真の中のポップはみずみずしさを湛えたままで在り続けた。
他にもアグネス・バルツァやキリ・テ・カナワが美し処みたいな感じで売り出されていたけど、写真での彼女たちは気が強そうで、どうも受け入れられなかった。ムターやムローヴァも綺麗だが、彼女たちの視線はどこか冷めた装い。
ルチア・ポップは数年前に亡くなった。五十代だったと思う。早いよね。寂しいね。
彼女の歌う「四つの最後の歌」を聴いていて、思い出したことをつらつらと。