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ヘルマン・バウマンの音の凄さを宣伝する

ヘルマン・バウマンは、もう忘れられてしまったのか?

今日、彼の録音(Virtuoso Horn)を久々に取り出して聴いてみた。美しい・・・。初めて耳にした時の感動が、改めて沸き起こってくるような。僕はバウマンの音が好きだ。僕の頭の中にあるホルンの理想の音は、どうも彼の音のようだ。

バウマンで思い出すことがあった。バウマンはその全盛期に脳溢血で演奏できない状態に陥ったのだが、過酷なリハビリを重ねて再びホルンを吹けるようになった、という逸話。それを確認したくて、彼の名前でググる。しかし、目ぼしいプロフィールや彼の紹介は殆ど見つけられなかった。かなり有名な奏者だし、一時期の第一人者に挙げられてもおかしくないはずなのだが、なぜだろう。

そこで手元の書籍で調べてみた。

1934年ハンブルク生まれ。幼少時からピアノとチェロを学び、ホルンを始めたのは20代に入ってからという。シュトゥットガルト放送交響楽団在籍中の1964年、ミュンヘン国際コンクールに優勝。1967年にオーケストラを辞し、ソロ活動に入る。ナチュラル・ホルンの先駆者として録音も多い(1993年に脳溢血で倒れたが、現在は健康を取り戻して、楽器も吹いている)。
200CD 管楽器の名曲・名盤」より

上記書籍でも少し触れられているが、僕の記憶では「楽器も吹いている」程度ではなく、演奏会への復帰も果たしたような覚えがあった。彼が残してきた名声の最後を彩る物語としては美しいし、これからホルンを志す人間にとっても励みになる話だと思ったのだが、結局、それにあたるような記事をウェブから見付けることが出来ず、僕の記憶自体に自信を失っている。

それよりも何よりも、バウマンへの注目が減っているような印象を持っている。あれだけの素晴らしい録音を残した奏者なのだ。僕の勝手な期待ではあったが、ファンサイトの一つや二つ、あるのではないかと思っていた。せめて簡易なディスコグラフィくらい、という思いもあった。けれども、その手のサイトは全く引っ掛かってこない。彼のプロフィールすら目にすることは出来ない(検索の仕方が悪いのかも知れないが・・・)。これはどうしてなのだろう? ミュンヘン国際コンクール優勝という輝かしい経歴(このコンクールは、なかなか1位が出ないことで有名)と、圧倒的な内容の録音の存在。この二点からだけでも、歴史的録音が持て囃される中、彼への注目をやめてしまう理由は何もないはずと思うのだ。勿体無い!

僕はバウマンの音楽は、今でも色褪せていないと思う。今聴いている「Virtuoso Horn」、1960年代という録音の古さは全く感じさせない瑞々しさ。そのアルバム・タイトルに恥じない名人芸だ。華やかな登場、尋常ではない高音、そこでの透明感、歌っているかのような自然さ、オーケストラに埋もれない個性。クッキリとその存在を誇示しつつも、少しも仰々しくない、品の良い香水のよう。これほどの音楽が、今はもしかして受け入れられないのか? まさか! 先日購入したラデク・バボラクほどの線の太さと柔らかさは無くとも、音楽の志向は同じだと感じたし、同時代のバリー・タックウェルなど相手にもならないのに*1・・・。

ちょっとこれを機会に、バウマン祭りをやろうかと検討中。そういうの多いな。

*1:と、思ったらバリー・タックウェルはもっと埋もれているようですw