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ベレゾフスキーのラフマニノフ

チャイコフスキー : ピアノ協奏曲第1番 / ラフマニノフ / ピアノ協奏曲第3番

チャイコフスキー : ピアノ協奏曲第1番 / ラフマニノフ / ピアノ協奏曲第3番

昔はピアノ・コンクールの話題がよく出た。記憶に残っているのはソビエト崩壊後のチャイコフスキー・コンクール。優勝したのはボリス・ベレゾフスキー。あまり頭良さそうには見えなくて(失礼)、優勝しそうには思えなかったが、本選ではラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を汗をタラタラ流しながら大熱演。中村紘子も絶賛とまではいかなかったけど、それなりの評価を得て優勝した。あの時は、豪快な演奏をする人の良いピアニスト、程度の感想だった。

今、彼がインバルと再録した同曲を聴いてるが、ベレゾフスキーの凄さに改めて衝撃を受けている。豪快な演奏? 十数年前、僕は何を聴いていたんだ? 彼はとんでもない策士ですよ。頭脳派と言い換えてもいい。もちろん技術も十分! すごいよ、これは。この曲をこんな弾き方できる人、居ない。この曲は美しいんだ!と思える。音楽に余裕がある。速いパッセージも歌ってる。並のピアニストならスッと流してしまうような何気ないスケールも、微妙な変化をつけてこだわっている。フォルテばかりになりがちなこの曲の、新しい容貌を見せてくれているのだ。

インバルも素敵だ。和音の構成音を滑らかに上がるホルンを目立たせるのは聴いていて嬉しくなるし、木管群が丁寧に響きを作っているのも彼の指示だろう。そう、協奏曲を聴く醍醐味がここにあるんだ。

この組み合わせでどんどん録音してくれたら良かったのに! ベレゾフスキー、どこへ行ったんだ?